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国際秘密警察 虎の牙

1964年東宝、安藤日出男脚本、福田純監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

東南アジアにある、アラバンダ共和国の産業省次官クリマ・アベヤワルダナ(中丸忠雄)相手に、武器を売り込もうと交渉していた日本人、北見(三橋達也)は、突然、省内に乱入してきた旧王国、シャガール系のテロ集団の襲撃に巻き込まれます。

その際、北見は、逃げ遅れていた日本人美女、梨江(白川由美)を助けます。

テロ集団を撃退した腕を見込まれ、北見は、クリマが日本へ、自国のダム建設への協力企業を募りに出かける旅のボディガードを依頼されるのでした。

クリマの秘書、梨江も、久々に父親に会いたいと、一緒に帰国する事になります。

武器商人を装った北見の本当の正体は、パリ本部からの指令を受け行動する、元陸軍中野学校出身で国際秘密警察のエージェント、北見次郎その人だったのです!

日本に帰国後、北見と共に梨江が訪れた父親の勤めるガスボンベ会社からは、父親(藤田進)も含め3人がすでに退職していた事実を知らされ、二人は不審がります。

一方、クリマの歓迎パーティが行われた日本のアラバンダ料理店には、関連企業の接待に紛れ、泉物産という聞き慣れない零細企業の松下麗子と名乗る謎の美女(水野久美)がクリマに接近、関係者以外には知られていないはずの「虎の牙」という、クリマのニックネームで呼び掛けます。

さらに、彼女を追って、青年医師の佐久間という男(久保明)まで現れる始末…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

お分かりの通り、初期の「007」人気に触発されて作られた、日本初の本格的スパイ・アクションシリーズで、本作は「国際秘密警察/指令第8号」(1963、杉江敏男監督)に次ぐ第2作目。
パリ本部から届いた、本作での指令番号は「28」で、この時代の東宝作品ですから、出てくる役者さんは、怪獣映画でお馴染みのメンバーばかり。(1964年ですから、「モスラ対ゴジラ」や「三大怪獣/地球最大の決戦」の年。何故だか、この時代の秘密組織の本部はみんなパリにありますね)

特に本作では、クリマの片腕として、サバトという、浅黒いひげ面の青年が登場、物語後半まで、かなり重要な役割を演じます。
「三大怪獣〜」にも出ていた黒部進さんです。

「007」に触発されて…とはいっても、そこは日本映画、予算のかからないような要素しか取り入れていませんから、当然、テンポは間延び気味で、アクションドラマとしてもイマイチ…というしかありません。
北見は「女好き…」と称しているわりには、ラブシーンもほとんどないですし…。

しかし冒頭部分の町の風景などは、実際に東南アジアでロケをやっているようですし、役者達は全員英語で長セリフをしゃべっています。

本作で、福田監督が中丸忠雄さんを起用したのは「電送人間」がらみでしょうか。
ラストで、中丸さん演じるクリマの正体が明らかにされる場面、ちょっと、「007/ゴールデン・アイ」をほうふつとさせます。

作品中、唯一おっ!と目を奪われたのは、冒頭のテロ襲撃のシーンの後、タイトル文字が現れるのですが、副題の「虎の牙」という文字の出方がすごい!

金粉のような粒子が、画面に吸い付くように集合し「虎の牙」の文字に!
特撮ロゴ、かっこいい〜!!